アジア地区ゲルマニスト会議のお知らせ
「アジア地区ゲルマニスト会議」(Asiatische Germanistentagung)を
日本独文学会が主催することが、1998年6月6日の総会で承認されま
した。会議は1999年8月21日から8月24日まで、西日本支部のご
尽力をいただいて福岡市の九州産業大学で開催される予定です。皆様にこ
れまでの経緯等をご説明申し上げ、ご理解を得たいと思います。
<アジア地区ゲルマニスト会議>は、その前身となる会議も含めてこれ
までに5回開催されています。
- 第1回 1989年4月、ソウル。韓国主催、参加国は日本と韓国。
- 第2回 1990年3月 ペキン。中国主催 参加国は日本と中国。
- 第3回 1991年8月、ベルリン。日本主催、参加国は日本、韓国、中
国。(このときは、物価の高い日本では無理だということで、ベルリンで
開催されました。)
- 第4回 1994年、ペキン。(これは Internationaler
Deutschlehrerverband [IDV] のアジア地区大会を兼ねたものでした。)
- 第5回 1997年、ソウル。(この会から参加国が韓国、中国、日本以
外にインド、タイ、モンゴル、台湾と大幅に拡張され、「アジア地区ゲル
マニスト会議」の名称が初めて使われました。)
この会議は第3回までは、日本、中国、韓国の関心のあるゲルマニスト
の個人的なイニシアティヴで開催されていたのですが、その後参加国も日
本、中国、韓国だけではなくなり、規模も大きくなったので、第5回は韓
国独文学会が主催しています。第6回<アジア地区ゲルマニスト会議>を
日本で引き受けないかという提案があったのは1997年8月のソウルの
第5回会議での、韓国・中国・日本の代表者の懇談会の席上でしたが、日
本は第3回をベルリンで主催しただけで、国内ではまだ一度も開催してい
ないので、今度は引き受けないわけにはいかないというのが実状でした。
また、この会議は1991年以来3年毎なので第6回は2000年に
なるはずなのですが、この年にはIVG(国際ゲルマニスト会議)がそれ
も8月にヴィーンで行われるので、1999年に前倒しで開催することに
なりました。開催地を福岡にすることには、中国、韓国の代表は大賛成で
した。
こうした国際的な会議をするとなると財政が問題になるのですが、DA
ADから相当額の援助をするという内示があり、学会からも国際交流事業
費(年額50万円)の残額を3年間積み立てて費用の一部にあてることに
し、さらに学術振興会に<国際研究集会>の申請を出しています。なお、
九州産業大学では無償で会場を貸していただけることになり、大変感謝し
ております。
<アジア地区ゲルマニスト会議>はドイツと日本以外のゲルマニスティ
クにも開眼する良い機会になると思います。この会議はIVGとも違い、
アジア地区の研究者が一堂に会するので、ディスカッションでも多様な発
言のなかにどこか共通な発想が感じられ、ドイツの文学や文学研究にわれ
われが感じるある種の疑問や違和感が、他のアジアの研究者にも共有され
ていることがわかったりすることもあり、洋の東西のものの考え方の相違
の一面がふいにはっきりしたりする面白さがあります。また - これは
ゲルマニスティクに直接関係することではありませんが - ドイツ人と
は会ったり話したりする機会はあっても、近隣のアジアの人々とはドイツ
で偶然出会うのでもなければ殆ど交渉がないというのが、われわれの現実
ではないでしょうか。<アジア地区ゲルマニスト会議>はこうした、不自
然な現実を補正する機会にもなると思います。
今回の<アジア地区ゲルマニスト会議>はSchwellenueberschreitungen
というテーマで、約150人の参加者が次の6セクションに分かれて報告
とディスカッションをする計画になっています(報告の数は72を予
定)。どうか皆様ふるってご参加ください。
- Universalismus und Regionalismus
- Genderprobleme
- Zeitliche Schwellen
- Grenzziehungen und Grenzverschiebungen in Literatur und
Literaturwissenschaft
- Forschungen zur deutschen Sprache in Asien
- Schwellenueberschreitungen in der Sprachlehrforschung
und -praxis
現在東京と福岡に実行委員会ができています。
- 東京:池田信雄(委員長)、大宮勘一郎、境一三、三瓶愼一、Peter
Giacomuzzi, Gabriele Stumpp、新野守広、広沢絵里子、松永美穂、山路
朝彦
- 福岡:池田紘一(委員長)、阿部吉雄、稲元萠、今田淳、梅内幸信、小
黒康正、坂元宏志、島村賢一、杉谷恭一、清野智昭、高田淑、高辻知義、
立花健吾、仲井間憲児、野口広明、福元圭太、堀涼助、
山中博心、山原芳樹
なお、参加希望の方あるいは関心をお持ちの方は、下記のメールアド
レス
または学会本部の「アジア地区ゲルマニスト会議実行委員会」宛にその旨
ご一報いただければ、7月中旬以後、セクションのテーマについての詳細
や招待講師名等を記載した Vorprogramm をお届けします。最終的な参加
申し込みの締め切りは10月末日を予定しています。随時この欄で新しい
情報をお知らせしますので、ご関心の向きは時々チェックしてくださるよ
うお願いします。
メール:asia-germ_at_hc.cc.keio.ac.jp
1998年7月6日
日本独文学会理事長 恒川隆男