“アジゲル”の複雑な味わい(M.Kumekawa)[J]   作成日:2008/11/12
 2002年北京、2006年ソウルとアジアゲルマニスト会議に参加し、今年の夏に金沢星陵大学で開催される大会では実行委員のひとりとして関わらせていただくことになった。3つの国でこの大会を経験してくると、この学会の独特の意義がだんだん見えてきて、いろいろなことを考えさせられる。
 アジアゲルマニスト会議で研究発表を行なうことは、意外に難しい。ただの「ドイツ語学・文学研究の国際学会」ではないからだ。中国、韓国そして日本を中心とし、メインはアジア各地、しかしヨーロッパその他の地域からも参加者を受け入れてのこの大会は、いわゆる Germanistik に留まらない射程を持っている。すなわち、ここでの作業は、東アジアにおけるドイツ語圏文化受容の「歴史」の上に立っているのである。

 この、「歴史」を前提とした学会は、必然的にテーマの「二重性」、さらには「三重性」に導かれることになる。アジアゲルマニスト会議は、単に「アジアの研究者によるドイツ語圏研究」のための集いであるのみならず、「ドイツ語圏の文化を、東アジアの人々はどのように研究・受容してきたか」を振り返る機会でもある。そしてさらには、「異文化受容、異文化間屈折、異文化間対話」をめぐる文化研究の方法論について、各国の研究者が意見をかわす場としても機能するのである。このように複雑なテーマの構造をもった学会は、じつはそれほど多くはないのではないだろうか。

 もちろん、IVG(ドイツ語学・文学国際学会)という世界規模の学会は存在する。しかし、IVGは全世界のドイツ語学・文学・文化の研究者が集まる大会であるだけに、実際にメインの話題となる地域は、当然のごとくドイツ語圏のみである。もちろんIVGでも、「北米大陸におけるドイツ系移民の氏名の変化」あるいは「ガーナにおけるトーマス・マン受容」といった、異文化間にまたがるスタンスの研究は数多く発表される。しかし、「北米」や「アフリカ」がそのまま恒常的にテーマとされることはない。その点、アジアゲルマニスト会議では、「ドイツ語圏」と「(東)アジア」の両地域の歴史と文化がつねに大会のテーマ設定に関わっているのである。

 近代化の過程において、東アジア諸地域はそれぞれにヨーロッパ各地域の文化・文明を研究し、摂取・受容してきた。しかし、今やヨーロッパ文化受容の目的は当然ながら「近代化」ではない。東アジアの Germanistik も、“本場”ドイツ語圏におけるそれも、もう随分前から「近代的」な人文科学の枠組みを脱することを要求され続けている。だが、いわゆるポストモダンの「文化理論」は歴史的文脈や地域文化性を「超え」ようとする試みから、しばしば抽象的な議論として漂流し、魅力も生気もない学者の知的遊戯に終始しがちだ。

 そう考える時、Germanistik の文献学的蓄積や知的訓練と、「(東)アジア」という具体的な舞台設定をもった“アジゲル”の使命はきわめて重い、ということに気づく。この大会は、時々開かれる日中韓のドイツ文学者の親睦会などではなく、文字通り文化研究の未来を開くための、高いアクチュアリティーを持った挑戦なのだ。

粂川 麻里生(慶應義塾大学) 
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2015/06/17
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